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社会的価値と無利子金融:「アラーは偉大なり!」

By Hiroki Kamata | 2007年 11月 16日

「サブプライム」ショックに揺れる世界金融市場の中で、イスラムファンド(スクーク)関係者はこう叫ん でいるに違いない。イスラム法(シャリーア)が先物やヘッジファンド、デリバティブでの運用を禁じているお陰で、彼らは何の損失も出さなかったのだから。 イスラムファンドはほんの数年で急成長し、今年500億ドルの規模に達した。膨張するオイルマネーを吸収して、金融市場で有力な地位を築きつつある。これ は「もう一つの金融経済」の可能性と必要性について考えさせてくれる。

日 本の金融は、税金を使った「金融(銀行)再生」の過程で、ほとんど死んでしまった。必要とするところにカネが回らない。海外市場に依存する企業を除き、萎 縮する経済の中で干からびていっている。他方で、リスクをとらないはずの金融機関が、「サブプライムローン」を組込んだジャンクボンドに手を出して大損を 出す。いったいどんな「審査」をしていたのか(米国の住宅バブルについては数年前から常識化していた)。知っていたなら詐欺だし、「知りようがなかった」 というのなら、表舞台の金融というものの「常識」を疑ってみることも悪くないだろう。

イスラム金融は、「人としての正しい道」を定めるシャリーアに準拠した無利子金融である以外、通常の金 融と変わるところがない。ただし「正しい道」の適用を審査するのはイスラム法学者であり、かつコンプライアンスは厳密に求められる。「無利子金融」という とふつうではないように思われるが、近代以前の古今東西の歴史ではむしろ主流であり、日本もかつて盛んだった。現在も様々な形で存在する。シリコンバレー の成長を支える米国のベンチャーキャピタルなども無利子金融の一形態である
宗教=生活的実践という文脈を離れてもイスラムファンドに注目すべきだと、筆者が考えるのは、

1) 「社会的価値」の実現(実践)を援けることを目的にしている
2) 正当性を判定・監査するために、共有された仕組みを持っている
3) 世界的な金融危機を招いているヘッジファンドへのオルターナティブとなる

ということからである。これは最近、マイケル・ポーターが説いていることにも通じる(「社会的価値実現のバリューチェーン」(9/07)参照)。また「社会的起業家」が活躍できる基盤ともなるだろう。

イスラム法が「利子」を原則禁止しているのは、神のものである「時」によってカネがカネを生むという考えを不遜とするからである。明日の運命は誰にも分からない。われわれはそのことを考えないようにしているだけだ。そ れによって「期待」と「欲望」をふくらませ、それが経済発展の原動力になる(と考えている)。カタストロフィに遭うまでは。これは一つの合理性であるが、 いつも合理的なわけではない。最大の問題は、人々の「幻想」を利用して、カネにカネを生ませるのが最も「合理的」だと考える一握りの連中によって世界が (少なくとも金融的に)支配されることは避けられないことだ。そうした連中を社会は排除できない(すべきでもない)が、それだけに社会正義を原理とした金 融、ビジネスを支援する仕組みが必要だろうと思う。ちなみに筆者は、豚肉と酒を抜いては生きられないため、イスラムからは外れる。

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Topics: 政治・経済・ビジネス | No Comments »

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