IT化するデザインとエンジニアリングの融合(1)
By Hiroki Kamata | 2008年 6月 24日
社会的コミュニケーションとしてのデザイン
「デザイン」という言葉は「システム」と同じくらい、いろいろな意味を持つ。逆に言うと、それだけ汎用的な言葉だということだ。デザインには「意匠」と「計画」という二重の操作の結合(平凡社・大百科事典)があり、そこからエンジニアリングにおける設計も、プロダクトデザイン(美的・機能的意匠)も派生してくる。非常に便利なだけに、デザインという行為の全体性を理解し、実践できる「デザイナー」は少ない。
「デザイン」の最も重要な側面は、それが社会的なコミュニケーションであることだ。コミュニケーションは発信者と受信者、それに道具がないと成り立たない。もちろん、発信者は何らかの意図(目的・目標)を持っていることが前提される。美的な性格から美術作品などと混同されることがあるが、デザインにとって美とはコミュニケーションの目的を達するための手段でしかない(それはデザインの3要素を構成する構造と機能についても同様)。
コミュニケーションには、言語的なものと非言語的なもの、論理的なものと感覚的なものなどの両義的性格があるが、デザインはつねに両面を持つ。そして社会的なものである限り、ビジネスとほぼ一体である。ビジネスは必ずデザインを必要とする。企業にとって、デザインにおける目的は、ビジネスの目的と同じになるだろう。
建築からWebサイト、工場からビジネス、あるいは環境に至るまで、デザインは様々な対象を持つ。そしてすべてのデザインは独立したものではなく、他のデザインと協調してコミュニケーションにおける役割を果たす(あるいはノイズとなる)。つまり、デザインはシステム(部分が結合して構成される全体)であり、デザインするということは人工システムを作る行為なのである。デザインとエンジニアリングは本来、近縁にある。
デザインとエンジニアリングは、急速にディジタル化している。今日では対象が何であれ、ITの支援を受けないデザインは存在しないし、エンジニアリングも同様である。ならば、社会的コミュニケーション行為としてのデザインと、目的を達成するための技術体系であるエンジニアリングを、ディジタルに融合させる環境を構築することで、複雑に絡み合ったシステムの問題を解決しようとすることは十分に必要性、合理性がある。鍵は以下の5点だと思われる。
- 最終的な統合システムをITで仮想的に構築すること
- シミュレーション、テストを行えるようにすること
- 設計された統合システムから個別システムにマッピングすること
- 設計から実装への連続的な変換を可能にすること
- 構想から運用・廃棄までのライフサイクルを管理すること
では、異種の専門家とユーザーなどステークホルダーが参加して進められる開発プロセスあるいはライフサイクル管理のための環境をどうやって構築するか。それを構成する要素技術は、大部分在来のものの発展形であろう。しかし、どう考えても従来のもので足りないのは「ユーザーインタフェース・デザイン」だと思われる。(続く)
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