カテゴリー

最近の投稿

ブログロール

作曲家・小室哲哉氏の「一栄一落是春秋」

By Hiroki Kamata | 2008年 11月 6日

米国民がまさに「民主主義」の力に興奮していた頃、日本では零落したセレブへのイジメの快楽に酔っていた。ネメシスよりは貧乏神の仕業と思わせる。筆者は、かの小室哲哉氏に特段の個人的感情を持たないし、その音楽についても同様だ(あまり好みではない)。しかし、10年以上にわたって日本のミュージックシーン(好悪を別として)を代表する作曲家であったことには、然るべき敬意を払うべきだと思っている。

この国(社会)がつくづく厭になるのは、「転落」した途端、追従を言っていた連中が雑言をかき集めてネタにし、嘲笑し、彼のような人物に払うべき敬意をか なぐり捨てることだ。小室哲哉氏は作曲家であり、山のようなヒット曲を世に出した。つまり非凡な個性であり、社会にとって貴重な才能である。これは刑法犯 になろうが麻薬常習者になろうが変わらない。米国はジェームス・ブラウンを愛していた。小室氏はまた、莫大な金銭を稼ぎ出して音楽業界を潤し、多額の納税で国庫・地元を潤し、それを凌ぐ蕩尽で個人消費に貢献した。筆者が考える富裕層の三大義務(納税、消費、慈善)にも適っている。りっぱな名士である。

ポストバブルが終わり、インスピレーションも涸れ、事業に失敗し、CD時代が終わり…で、借金で首が回らなくなって、思わずアブない相手に架空の事業への金を出させてしまった。別に同情しなくてもいいが、社会的に非難されるべきことは何もないと思う。お年寄りから金を騙し取ったわけではないし、社会保険を ネコババしてもいない。救急患者を見捨てたわけでもない。それに、何にせよ、音楽家としての輝かしい業績が消えるわけではないのだ。ところがメディアは「小室プロデューサー」と呼んで、まるでミュージシャン とは別物のように扱っている。これはかなり悪質である。

筆者は小室氏の業績のほうにはあまりなじみがない。しかし蕩尽の末に落魄した二枚目、というと、歌舞伎の「やつし」 を連想し、感慨を覚える。縄目を受けた小室氏には、いま少し藤屋伊左衛門のような色気が欲しかった。自分で稼いだ金を浪費するのは悪徳ではない。蕩尽は傷ましいが、これも悪徳ではない。一種の病気だ(富裕層が社会を潤すという珍説の数少ない例証でもある)。それにしても「巨悪」に対して「秋霜烈日」を 示すべき地検特捜部が、被疑者の名前以外、まったく社会性のない事件に対して異常な熱意を示すことにも一驚(一興ではない)を禁じ得ない。(「オレのトモ ちゃんを踏みにじった!」という検事の個人的感情があるのかもしれない。)

Topics: 近時片々(時論) | 1 Comment »

採点をお願いします。


One Response to “作曲家・小室哲哉氏の「一栄一落是春秋」”

  1. 小室哲哉の罪と罰:「ずる賢く悪質な犯行」に懲役5年求刑 ?? | INTELOGUE さんより:
    2009年 4月 23日 at 3:56 PM

    [...] 作曲家・小室哲哉氏の「一栄一落是春秋」 (11/06/2008) [...]

コメントはこちらへ