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危機対応における陽と陰:アメリカ式楽観主義の効用

By Hiroki Kamata | 2008年 12月 22日

オバマ次期大統領には、人を楽観的にさせる能力があると言われている。しかし逆境にあって楽観的になる能力は、もともと移民=難民の国であるアメリカ人の国民性でもある(ますます悲壮になる日本人と対照的)。アメリカ人の楽観主義は、「人間にはものを創り、ものごとを変える能力があり、それは人々の連帯によって実現される」という(宗教的)信念に由来するものだろう。これがある限り、どんな状態でもまず再生する。オバマは、その「陽」の力を引き出そうとしている。敵を探すという旧来の政治手法ではなく、誰もが支持する目的(雇用)に対して、超党派の有能なプロフェッショナルによるチームを組織し、問題に対処する姿勢を見せるというまっとうなやり方で国民に安心感を与えている。

他方で日本人は、ただ「耐え」ようとしているかに見える。もちろん、耐えなければならない。乏しきを分かつならいい。しかし自分だけ“冬籠り”に入り、外で人が飢えていようと知らん顔…という疑いが社会に広がると、それは危険だ。何度も言うが、これは冬ではなくカタストロフィなのだ。だから「陰」の力で耐えるのは限界がある。人々は様々なところで「敵」を探すようになる。

希望と連帯感があれば、人は最低限の衣食住にも耐えられるが、それもなければ人間の社会のモラルは崩壊してしまうだろう。カイシャという共同体から追われ、国家からも見放されたと感じている日本人の心情は、危ういところにきている。地球環境の「サステナビリティ」が問題となっているが、社会の「サステナビリティ」とは「きずな」であり、再生産されなければならず、それは経済活動を通じて人々が連帯感を得られるかどうかにかかっている。

日本で「景気」対策というところを、欧米では「雇用」対策という。オバマ次期政権はたとえば「350万人の雇用を創出する」ことを目標にするという。欧州も同様だ。これは雇用が社会を成り立たせていること、それが崩壊し、人々が恐怖に怯える状態となったら、社会の維持が困難なことを考えているからだ。「陽の気」は働くこと(それによって消費すること)から生まれる。20世紀の2つの世界大戦の間に何が起こったか。なぜファシズムが「ペストのように」広がったのか。ナチスの政策(少なくとも経済政策は成功した)がなぜ熱狂的な支持を得たのか。今それは人々の「恐怖」で説明できる。ここはアメリカ人に倣うのがいい。 (12/22/2008)

Topics: 政治・経済・ビジネス | 3 Comments »

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3 Responses to “危機対応における陽と陰:アメリカ式楽観主義の効用”

  1. グリーン・テクノロジーと新しい産業革命への期待 | INTELOGUE さんより:
    2008年 12月 23日 at 1:27 AM

    [...] 危機対応における陽と陰:アメリカ式楽観主義の効用 [...]

  2. nekonote さんより:
    2008年 12月 25日 at 1:32 AM

    おひさしぶりです。拝読させていただいてます。
    このところの社会状況に非常に危機感をいだいています。
    「乏しきを分かつのではなく、外で人が飢えていようと知らん顔」になっていますね。炊き出しが近くであるのを排除しようとする人たちをニュースで見ました。会社にも国家からも見放され、飢えていけば座して死を待つだけではなく、破壊的な方向にも向かいうるでしょう。
    「人間にはものを創り、ものごとを変える能力があり、それは人々の連帯によって実現される」という言葉には希望がありますね。

  3. admin さんより:
    2008年 12月 26日 at 2:09 AM

    コメントありがとうございました。こちらこそ力づけられます。
    「人間には…云々」は、どこかで聞いたのかもしれませんが、なんとなく浮かんできた言葉です。どうも日本では、かつてに比べて、社会的な問題を社会的に解決する能力(これが社会の力だと思います)が失われてきているようで、それは問題を人間の内面に解消する心理主義が大きな影響力を持ったせいだという人もいます。さすがに、「選択の自由」とか「自己責任」という言葉は聞かなくなりましたが、ならばなぜマズかったかの議論もありませんね。まあコイツにだけは言われたくないよな、という人たちではありましたが。

    このブログでは、
    1) 社会的な問題を技術的に解決するための方法
    2) 不況下で何が起ころうと人生を豊かに生きるためのアイデア
    という2つのテーマを主に追求してみたいと考えています。今後ともコメントをよろしくお願いします。

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