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グリーン・テクノロジーと新しい産業革命への期待

By Hiroki Kamata | 2008年 12月 23日

前掲記事「危機対応における陽と陰」は、グリーン・テクノロジーを論じた『オブジェクトレポート』のエディトリアルとして書き始めたものだが、やや脱線してしまったので、その部分を外してこちらで独立させたもの。併せて向こうのほうもお読みいただきたい。筆者がグリーンに注目するのは、それがシステム技術として、製造業の生産性を高め、雇用を拡大し、環境負荷を軽減し、低成長の農業を含んだ成長モデルを可能にするのではないかと思うからだ。 おおげさに言えば、異種技術が複合することによる新しい産業革命となるだろう。前例がないわけではない。日本で公害が社会的問題となった1970年代から、「環境対策」は成長の制約要因であるように言われてもきたが、実際には厳しい世論によって世界で最も厳しい排ガス規制を単独で導入したことで、排出量も減ったと同時に燃料効率も格段に向上し、きわめて「エネルギー効率」が良い産業構造が生まれた。自動車環境規制の経済的影響について研究していた筆者は、環境とビジネスは両立しうることを確信したが、この問題で「テクノロジー」というものについて多くを学んだ。政策分析の方法論やモデルは、ほとんど米国由来のもので、日本人の情緒的なのに比べてあまりにプラグマティックなのに感心も閉口もしたが、システム工学という発想は大いに勉強になった。

その後の成長は、日本に多くの富をもたらすことにより、全体最適を目ざすシステム工学を遅らせたようである。それに「社会主義」と揶揄された戦後経済体制と、海外からも高い評価を受けていた官僚テクノクラートの政策は、工学的とは言えないが、最初から「全体最適」を志向していた。80年代のバブルは(米国の金融バブルがそうであったように)不敗神話を生み、貧しい時代を支えてきた使命感は、企業からも官僚からも失われていった。それにしても、米国がショックからすぐに立ち直ろうとしているのに比べ、90年代以降の日本人の反応のなんと鈍いことか。社会の一体性は、貧困とか危機感とかが分かち合える環境で生まれるのだが、日本人はバブルで失ったものをまだ取り戻せていない。

筆者が期待するのは、新しいシステム技術が、専門家にも見えない「金融工学」のようなものでなく、プロセスを明確化することで、多くの人々が、理解し、納得し、改善に参加できるプロセスを構築することだ。ソーシャルネットワーキングやWeb 2.0といったコミュニケーションの環境は、大きな役割を果たすことができる。悲観的になることはない。こんな「革命」は大不況下でもなければ実現しないのだから。 (12/22/2008)

Topics: エンジニアリング | No Comments »

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