カテゴリー

最近の投稿

ブログロール

マドフ事件:スイス・コネクション登場

By Hiroki Kamata | 2008年 12月 25日

第2幕:“疑惑のデパート”

マドフ事件はついに(これまで記録された)初の死者を出した。マンハッタンのオフィスで両腕リストカットの状態で発見されたのは、スイスの資金管理会社 Access International Advisors のフランス人CEO、ティエリ・マゴン・ドラ・ヴィルシェ氏(65)で、顧客の資産15億ドルをマドフ証券に預けていた。遺書などはないが、当局は「自殺」とみている。「ねずみ講」被害者の、絶望の果ての自殺だろうか?
本ブログでは、同業者と富裕層を対象とした本件が「ねずみ講」とは似ても似つかないと指摘してきた。いかにも貴族的な姓を持つヴィルシェ氏の顧客には、世界最大(229億ドル)の女性資産家、ロレアルのオーナー、リリアーヌ・ベタンクール夫人も含まれていた。仮にも、このリッチなマダムやスティーブン・スピルバーグ監督が、老後の資金の心配でもして「ねずみ講」に引っ掛かったと言うのだろうか。今からでも遅くないから、「ねずみ講」はやめてほしい。初の(これで終わりとは思えない)死者が出たことで、この事件の展開が、ミステリーとしても第一級のものとなることは確実と言える。ジョン・ルカレに期待したい。

役者には事欠かない。まず、マドフ氏の家族(わけあり顔の妻と二人の息子)、マドフ証券の関係者、不似合いに小さな会計事務所、顧客を紹介して手数料を受け取っていた多くの連中が捜査の線上に上っている。さらに、見て見ぬふりをしたSEC当局者も。しかし、何といっても注目は、このマドフ・スキームのキー・プレーヤーとして、おなじみ“疑惑のデパート”で「独裁者・マフィア・資産家の味方」として知られるスイスのプライベート・バンクである。事件の被害者(7億ドル)としても名を連ねている、ジュネーヴのUnion Bancaire Privee (UBP)が、マドフ氏との関係で注目されている。中東やロシアの資金をヘッジ・ファンドに回す有力なパイプとなってきた銀行だ。UBPは、他の銀行やファンドの資金をマドフ証券に誘導してきたとみられている。詳細は、NTタイムスやWSジャーナル紙に詳しい(NYTimes, Nelson Schwartz, 12/24/2008)。

スイスの銀行に続き、ケイマン諸島なども出てくる。もちろん、スイスの口座はゴルゴ13も使っている、重要な小道具だが、マドフ・スキームではかなり大掛かりな役割を担っていた疑いが出てきている。被害者を疑うべし、というのは、この手の事件では基本とも言えるが、最大の注目は、預けるのは簡単だが、出すのは難しいスイスの口座の秘密が、マドフ事件を通して明らかになるかどうかだ。 (12/24/2008)

Topics: HOT:マドフ金融詐欺事件, 近時片々(時論) | No Comments »

採点をお願いします。


コメントはこちらへ