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サティヤムと「コンプライアンス」の運命

By Hiroki Kamata | 2009年 1月 9日

サティヤムの粉飾決算の波紋が広がっている。まず、世界66ヵ国で5万人以上を雇用するこの大企業は、他社に買収されることになりそうだ。それ以上に問題なのは、企業の「コンプライアンス」の信頼性、アウトソーシングの適否、インド投資という、この10年間のトレンドの行方だ。サティヤムの決算書は、PWCが監査し、米国NYSE/SECとムンバイでそれぞれ承認されている。また「コンプライアンス」や「人材開発」でも優等生であり、国際的な認定機関からたびたび最優秀企業として選ばれていた。

インドの企業は、ファミリー・ビジネスが多く、上場企業でも多くは同族が経営に関わっている。つまり、家族主義と市場主義という2つの原理で動いており、経営管理が優秀でも、家族には甘くなる傾向がある。ラマリンガ・ラジュの創業者としての業績は、粉飾決算を差し引いても、確かに群を抜いていた。フォーチュン500社の約3分の1を顧客とし、GE、ネスレ、フォード、シスコから米国政府までも含む。しかも提供サービスは、コンピュータシステムの管理、顧客サービスなど、アウトソーシングの最先端をいっていた。多くの顧客の最重要データの管理を請け負っていたと言っていい。「下請け」から出発しながらも、現代の基幹的サービス産業として成長してきた。

それが可能だったのは、コンプライアンスにおいて信頼を確立し、優秀な人材を集め、育ててきたためであろう。しかし、このビジネスはあまり儲かるものではなかった。TCSやウィプロなどのタフなライバルに伍していくには、上場企業として高い成長率が求められ、それが「虎の背に乗る」ことになったのだろう。四半期の連続成長記録などの無意味なレースよりは、ファミリービジネスで通したほうがよかったように思う。それでは世界を顧客とすることはできなかったかも知れないが。

それにしても、コンプライアンスという、いまだ日本語として定着していないコンセプトは、市場を機能させるには不十分であることが、またも露呈してしまった。監査法人の眼も節穴に近かったということだ。数字だけを問題にする市場に対して、立場の不安定な経営者に正直であることを求めるのは、外部チェックが不徹底である中では無意味である。それでも、サティヤムはビジネスにおいて顧客の期待を裏切っていたわけではないし、合法的に顧客の金で博打をやってきた「金融サービス」とは違う。 (01/09/2009)

Topics: テクノロジーとビジネス | No Comments »

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