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市場は「ジョブズ以後の世界」に直面した (1):長期離脱の波紋

By Hiroki Kamata | 2009年 1月 15日

先週(5日)のスティーブ・ジョブス(53)の「ヘルスレター」が、体重減少の理由を「ホルモンバランスの失調」としながら「治療は割合簡単なもの」と書いていたのを見て、軽いものではないと思った。5年前に膵臓癌の手術をした身であり、昨年6月以降の痩せ方、その間続けられていたであろう検査と治療の結果を受けたものだからだ。今日(米国時間14日)さらに「問題はさらに複雑」で「6月まで休養」するという手紙を公表したことで、市場はついにジョブズ以後のアップル、いやジョブズ以後の世界に直面することになった。

CEOの健康はコーポレートガバナンスの問題

「問題はさらに複雑」であったのは、先週の手紙に対する医療専門家の反応からも明らかだった。なぜホルモンバランスが回復しないのか、「簡単」なはずの治療がなぜ分からなかったのか、という疑問が生ずるからだ。今日分かったのは、原因は複合的であるか、あるいはなお不明であり、治療法も定まらず、効果も予測できない、ということだろう。唯一明らかとなっているのは、癌の再発ではないということ、ストレスがよくないということだ。もちろん、来年6月の復帰、というのは、それまでに回復しなければCEO辞任というギリギリの線だろう。ジョブズは人生最大の戦いに臨んでいるが、不可能を可能にする彼の創造性も、人を魅了してやまないカリスマも、残念なことに役に立ちそうもない。しかし、彼はつねに運を味方にする稀有の力の持ち主であった。回復を祈りたい。

二番目の手紙は、株式市場、IT業界に大きな衝撃を与えた。アップルの株価はすぐに7%ほど下落。NYTWSJの記事は、コーポレートガバナンスを問題にするアナリスト、学識者のコメントを多く伝えている。米国のジャーナリズムは厳しい。本件では、従業員へのジョブズの手紙以外の情報が発表されておらず、アップル社執行部がCEOの健康問題に関する情報の開示を怠ったにしても、あるいは何も知ってはいなかったにしても、少なくとも「株価に直接影響する事実」を開示していなかったということが批判されている。確かにそうだが、CEOの健康に関する情報の開示を要求するルールはないし、またジョブズ以外に、株価に大きく影響しそうなCEOは見当たらない。 (つづく

Topics: テクノロジーとビジネス | No Comments »

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