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日本版オリガルヒと戦う鳩山三世 !?:平成の民営化=官物払下げ事件

By Hiroki Kamata | 2009年 1月 24日

「竹中氏は『族議員と官僚のゆがんだ政策を正すために民間の有識者を政策決定の中に入れている』という。では公の領域で自ら利益を図ろうとする人間はゆがんでいないのか。官僚と族議員がゆがんでいて財界人は全部まっすぐだといういい加減な理屈は成り立たない。」(鳩山邦夫総務相)

鳩山邦夫という人は、ものごとに熱中するタイプのようで、(法相時代は「死刑」で、これはあまり気持ちのいいものではなかったが)今度は「かんぽの宿払下げ問題」に熱中している。いったん決まっていた「オリックス一括払下げ」を押し戻した剛腕は凄い。頭がいいだけに、ターゲットが絞られると力が出てくる。新聞各紙は社説で「不当な政治介入」と批判、竹中平蔵も産経で「かんぽの宿は“不良債権”」と攻撃(反撃)したが、一歩も引かずに堂々と正論を述べるところは、まるで鳩山一郎のようだ。

「官から民へ」というロジックは、じつは明治維新以来のもので、古くは黒田清隆の「北海道官有物払下げ事件」が有名だ。歴史の教科書にある「殖産興業」政策にからむ官営工場、鉱山などの払下げ事例は山ほどあり、巨額の国家資金を投じ、十分に魅力的な資産が格安で「政商」に払い下げられている。「政商」の多くは産業資本家や金融資本家となり、現在もなお財閥→大企業として存在している。ロシアでは新興財閥(オリガルヒ)と呼ばれる(市場は政府よって生まれ、独占とともにあった!)。安値での払下げを正当化する必要がある場合には「不良資産」扱いすることも多い。「犬も食わない」と言っていた人間が、ちゃっかりといただくのがお決まりのパターン。

安値で損をするのは国民なので、サムライの血をひく鳩山三世には大いに戦っていただきたい。ついでに小泉マジックで押し切られた「郵政民営化」をもう一度俎上に上げていただきたい。新聞は「なぜ宮内氏のオリックスか?」を言うのはけしからん、と批判するが、その1点を除いても、「自分で書いた」という鳩山総務相の「質問状」には十分な説得力がある。なんといっても、客観的な資産評価もせずに簿価より安い額で売るというからには、実質的な所有者である国民に納得のいく説明がなされるべきだろう。

21世紀に入って以降の「規制緩和」と「民営化」では、結局「市場システム」はなんら前向きの役割を果たさず、もっぱら「政商」や「偽装」「口入れ」をこととする商売に活躍の場を与えただけだった。「イノベーション」は生まれず、生産性も上がらなかった。それも当然で、イノベーションは、安直な方法、既存の方法が成り立たない場合に前進する。「官有物払下げ」など、権力の周辺にいれば利益が上がるような社会にはイノベーションは生まれない。米国では戦争まで民営化して一部企業が巨大な利益を上げ、自動車など民生用製造業は衰退した。これからその見直しが始まり、製造業においてイノベーションへの刺激、圧力が全開となる。日本はいい加減に「民営」幻想を捨てないと19世紀に戻ってしまう。オバマの言うように、「政府が大きいか小さいかではなく、機能するかどうかだ。」 (01/23/2009)

P.S.

黒田清隆は残り、大隈重信(大蔵卿)は参議を追われた(明治14年の政変)。おかげで早稲田大学もできたわけだが、平成の「払下げ事件」はどうなることだろう。

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