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オバマ@ホワイトハウスのソーシャルウェブ=ネットワーキング

By Hiroki Kamata | 2009年 1月 25日

オバマ新大統領は、すでに史上ウェブを最も有効に利用した政治家として知られている。現代史上初めて若者の参加を実現した選挙戦(メッセージの配布から献金に至るまで)の勝利は、たしかにウェブなしにはあり得なかった。それは選挙では終わらず、ホワイトハウスにも及ぶ。ヒトラーがラジオを、ケネディがテレビを前提としたように、オバマの政治はウェブ、それもソーシャルネットワーキングを中心とした新世代のウェブ技術を必要とするということだ。ターゲットは全世界(の市民)である。

ホワイトハウスのウェブ戦略

政権移行チームのウェブサイト Change.gov にリスト管理とスプレッドシートを提供しているスタートアップ企業 (blist)のCEOであるケビン・メリット (Kevin Merritt)が、TechCrunch に、オバマ=ホワイトハウスのウェブ活用法を明かしている(01/24)。これは政府から企業まで、組織がどのようにウェブ(ソーシャルネットワーキング)を使っていくか考える際のリファレンスとして役立ちそうだ。ウェブと言うとホームページとメルマガ、日記風ブログくらいしか思い浮かばない人にも参考になる。

ホワイトハウスの公式ウェブサイト、WhiteHouse.gov は、政権のメディア・チームが担当する。チームは新政権の最優先課題を、1) コミュニケーション、2) 透明性、3) 市民参加 に置き、これをコミュニケーション戦略の基本としている。メリットの記事はこの3点に沿って、ウェブ活用を点検していく。

コミュニケーション:まず選挙中で使用したGoogleの YouTubeなどビデオサイトを引き続き使用し、メッセージを定期発信していく。F.D.ルーズヴェルトが始めて以来、恒例化されたAMラジオによる「炉辺談話」を現代化し、ホワイトハウスブログを開始する。更新はeメールで通知される。つまりRSSフィードを使う最初の米国大統領となった。選挙中にメッセージを浸透させ、反響を分析するのに役立ったFacebook や Myspace、Twitter も使われる。

透明性:透明、開放性、誠実を信条とする政権は、すでに CHANGE.GOV で数百の非公式ミーティングを公開している。それらはクリエイティブ・コモンズの規約に従って公衆にライセンスされる。献金者リストは公開される(メリットはもちろん、それに使われている blist の宣伝も忘れていない)。

市民参加:Salesforce.com サービスを使った Citizen’s Briefing Book には、政策課題についての市民の提言や意見に対する投票、コメント、ランク付けなどの機能が提供されている。Salesforceのほか、Googleや Facebookなどが活用されており、そうしたリストは今後も増えていくだろう。

マスメディア・ポリティクスからソーシャルメディア・ポリティクスへ

グーテンベルクの技術は、宗教改革以来の社会的変化を引き起こし、古代ギリシャの都市国家のシステムである「民主主義」を生々しい政治の場に引き出した。放送は民主主義をさらに大衆化したが、メディアの寡占化はむしろ印刷時代よりも強まった。マスメディアは(体制を問わず)権力と結びつきやすい。それはマスメディアが巨大ビジネスである市場経済でも北朝鮮でも変わりはない。日本に限らず、これまでの政治家や政党がウェブの利用にあまり積極的でなかったのは、スタイルが根本的に違うメディアを導入することで、マスメディアとの関係に波風を立てたくなかったためだと思う。近代のマス・ポリティクスの伝統を変えるのは勇気が要るものだ。これまでCMで知られてきた企業が、ウェブ中心に切り替えるようなものだ。

しかしオバマは自ら「ソーシャルウェブ」という禁断の扉を開けた。それしか勝つチャンスはなかったからでもある。その影響がいつどのように広がっていくかは容易に予想できない。選挙キャンペーンでは、オバマのサイトがヒラリー・クリントンやジョン・マケインのサイトとまったく違うことが注目されていた。それはルック&フィールから情報とその更新頻度、インタラクション機能にまで及ぶ。オバマ・サイトはおなじみの Windows風なものでなく、Apple風(Macintosh、iPhone的)な「クール」なものだった。新政権のコミュニケーション・ポリシーはすでにキャンペーン時に確立されており、ウェブのデザインはたんなる「見栄え」をはるかに越えて、機能、コンテンツ、インタラクションまで周到に計算されていた。いわば、政治というドメインにおけるウェブデザインの「ベストプラクティス」といえる。これからは、この「ベストプラクティス」がスタンダードとなる。

日本の政治におけるウェブ利用を縛っている公職選挙法とその解釈(もちろんウェブなどについての規定はない)は紆余曲折はあっても変わっていくだろう。しかし、ウェブでは、「ワンフレーズ」が幅を利かすマスメディアではテーマになりにくいコミュニケーションの本質(メッセージ、コンテンツと対話性)が問われる。それによって社会が進化することを期待する。 (01/25/2009)

Topics: 政治・経済・ビジネス | No Comments »

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