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「景気動向」は臨床検査か解剖所見か

By Hiroki Kamata | 2009年 2月 1日

もはや旧聞に属するだろうが、内閣府「景気動向指数研究会」が1月29日、すでに1年以上前(07年11月)から景気後退に入っていたとの「統計学的認定」を堂々と発表したのだから、2日遅れで俎上に載せるのも悪くないだろう。病院で、「1年2ヵ月前から病状が悪化していたことが正式に確認されました」というようなものだ。2007年7月30日の研究会の会合では、

2002年2月から始まった現在の景気拡大の期間が、06年11月に「いざなぎ景気」(1965年11月~70年7月の57カ月)を超えて「戦後最長になった可能性が高い」との意見で委員が一致した。

とされている。大田弘子経済財政担当相が明るい声で「いざなぎ超え」を報告したのが06年11月の月例経済報告だ。この「景気拡大」の発表の速さに比べて、「景気後退」の発表の遅さはどうだろう。ご記憶のように、その後の政府発表で「戦後最長景気」の経済は、「改善に足踏み」となり「弱含み」、貧乏神にとり憑かれたような与謝野馨氏に変わると「停滞」→「悪化」→「引き続き悪化」→「一段と悪化」そして最近「急速に悪化」を始めた。そして今回、「お前はすでに…」だったわけだ。この種の数字の発表が「統計学」というよりきわめて「政治的」なものであることは理解できた。選挙をやるつもりだったので「悪化」を認めたくなかったのだ。(「戦後最長景気」にしても、名目成長率が0.8%というのだから恐れ入る。これじゃ「デフレ上げ底景気」「非正規景気」ではないの?)

問題は、この政府発表を真に受けたかのように、企業のほうも不況に備える対応をとらなかったことである。2006年前半から、DI (Diffusion Index)は(新興国を除き)世界的に一貫して低下傾向を示しており、後退局面が始まったことは読み取れた。2007年末にはサブプライム問題も顕在化した。これを政府も企業も黙殺して2008年まで拡大路線を続けたことが、昨年10月以降の異常な落下の原因である。リーダーたちのCollective Stupidityが、経営方針の転換や政策対応を遅らせた。高給を貰っている「エコノミスト」も、マスコミも、まったく役に立たなかった。政治的な「天気予報」を信じ、軽装で山に出かけて猛吹雪にあったようなものだが、プロとしての反省内容、誤りの原因追及、「判定」のあり方を徹底して議論していただきたい。

ガルブレイズも言っているが、経済は非常に複雑な現象であり、将来を予測することはもともと不可能なのだ。出来ないことを出来るように言うのは、狂信か軽薄か詐欺かのどれかに違いない。判断を回避したいのなら、景気判断などしなければいい。景気判断とは、不可能を可能のように言うことではなく、傾向を正直に伝え、政策や経営におけるリスクとチャンスの判断を支援することでなくてはならない。 (01/31/2009)

Topics: 今日のひと言, 政治・経済・ビジネス | No Comments »

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