「笑っちゃう」自民党の宮廷クーデター
By Hiroki Kamata | 2009年 2月 12日
「私は次の選挙で引退表明している。あまり多くのことは申し述べないが、『あのとき賛成したけども、実はそうではなかった』とは言いたくない。」 (小泉元首相)
「あのー、ちょっとその話を聞いていませんので、何ともお答えのしようがありません。」 (麻生現首相)
ほんとうは「言いたくない」ではなく、「言わせたくない」と言うべきだろう。「非常識」の人が常識を語るようでは、もう誰も怖がらない。「怒るというより笑っちゃうくらい、ただただあきれている」という元総理の表情は、しかし笑ってもいなかったし、呆れてもいなかった。他方、現総理の表情からは、いつもの力みや脅えが消えていた。郵政解散の遺産である「3分の2」など、とうに賞味期限が切れて、何の役にも立たない(以上、遠慮は無用)というさばさばした雰囲気が感じられた。この転換は、マスコミも予想しなかったろう。「かんぽ払下げ問題」は、小泉氏を「大御所」の座から追い出す、宮廷クーデターの序幕だったということになる。一代の梟雄・小泉、胆力ある策士・森の二人の元総理は、さすがに何が起きたかを理解していた。
何が変わったかといえば(米国中心の)世界だ。昨秋以来の金融恐慌は、「改革」と郵政民営化を最も強く要求していた、シティバンクやAIGを吹き飛ばした。共和党政権は去り、新自由主義は断罪され、小泉改革を支えた、奥田、御手洗、西川、宮内の財界四天王は、いまや“落ち武者狩り”に遭っている。日本人の好きな「盛者必衰の理」だ。かつての「社会主義の崩壊」が社会党を解体したように、「市場主義の崩壊」は自民党を解体させた。今回のクーデターは、そのことを受け止め、見据えた動きだ。
これだけのドラマを演出できるのは誰だろう。鳩山総務相を教唆煽動するだけならともかく、麻生総理に決断させるとは、いまの自民党関係者では、野中広務・元幹事長くらいしか思い当たらない。小泉元首相の得意技は、禁じ手を使う「非常識」とタイミングを計算し尽くした「意外性」だったが、米国発の新自由主義の追い風を背にしていた。すでに世界は変わっても、「3分の2」は残り、大御所のプレッシャーは、後の総理への呪縛となってきた。呪縛はいつか解ける日が来るが、それを分からせるには、やはり平 清盛や明智光秀並みの人間でないと、できるものではない。仕掛けてできるものではないと思っていたが、見事というほかない。選挙・組閣までのプランをどう作り上げているのだろうか。 (2/12/2009)
Topics: 政治・経済・ビジネス | 1 Comment »
2009年 2月 13日 at 9:05 AM
思わぬ動きになってきましたね。
楽しみです。
定額給付が微妙になってくるとは。