米国マイクロソフトが大不況下、直営店を展開へ: Apple Store を猛追!?
By Hiroki Kamata | 2009年 2月 15日
マイクロソフト社は2月12日、ウォルマート(25年)やドリームワークスアニメーション(7年)で長い経験を持つ流通の大ベテラン、デイヴィッド・ポーター氏を Retail Stores 担当副社長に指名し、直営小売店のグローバルな展開のための検討に着手すると発表した。これは Apple Store に対抗するもので、Windows 7, Windows Mobile and Windows Live、Xbox 360、Zune といった製品を展示・販売することになろう。折しも小売り大不況のさ中、常識を破るかのような動きをアナリストはどうみているか。
とりあえず、NYTimes が特約している VentureBeat のMG.シ―グラー (2/13)、ZDNet のメアリー・ジョー・フォーリー(2/12) などの記事をもとにみてみよう。さて、このご時世に「常識破り」のように思われるかもしれないが、不況というのは小売の新展開のタイミングとしては悪くないようで(MSのように)十分な資金があるなら、大手小売店が次々と店舗を閉鎖し、スペース価格が最低の今こそ、絶好の機会というセオリーがある。したがって、不況だからではなく、不況だからこそやるべきなのだ。
マイクロソフトは、かつてサンフランシスコで直営店をスタートさせ、2年ほどで撤退したことがある。今回は2回目だが、戦略的には非常に重たい意味を持つものとなっている。たとえば、以下のようなことが考えられる。
- 既存のPCショップは、MS製品のショーケースとしては最悪である
- コンシューマとのリアルな接点を持つ必要が増大している
- Windows 7 では、Vistaでの失敗を繰り返すわけにはいかない
- Apple Store(世界200店舗以上)が成功している
各種プラットフォーム製品、アプリケーション、開発ツールからゲーム、モバイル、携帯音楽プレーヤーまで、幅広い製品を持つ同社だが、とくにコンシューマ製品に関しては、プリインストールに依存してきたために、アップルのような独自のブランドを確立しているとはいえず、コンシューマ事業での課題となっていた。たしかに、6種類のバージョンを用意しているという Windows 7 を、現在のPCショップで展示することを考えると、考えるだけでもうんざりする。製品の機能を理想的なセットアップで魅力的に展示・販売し、かつコンシューマの声やトラブルと直接に接することができるショーケースは、必要不可欠とも思えるし、筆者などは、コンシューマ製品に限らず、開発者向け製品についても必要だと考えている。課題は、
- アップルでさえ売上を落とす中で、売れる店にするにはどうするか、
- 先行するアップルに効果的に対抗できるか、
- いつ、どこで、どの程度の規模で、展開していくか
といったことである。おそらくポーター副社長はすでに戦略構想を持っていると思われるが、軽いものではない。前出のシ―グラーは、マイクロソフトともあろう企業が、これまで勝ち目のないオンライン広告で Google を追ったり、MP3プレーヤーでアップルを追ったりする、非創造的なゲームをやってきたことを批判しつつ、今度こそは “Think Different” (アップルのCM)をやってみたら、と言っている。アップル・ライクなインタフェースでは、一歩先を行くアップルに追いつけない、ということだ。とはいえ、オンライン全盛の現状に、あえて「リアルショップ」のエクスペリエンスの価値を再認識する動きであり、成功してほしいと思う。 (02/15/2009)
参考情報:
- Microsoft Announces Retail Store Initiative, ifo AppleStore, 2/13/2009
- Apple to showcase top iPhone apps, games at retail stores, By Sam Oliver, AppleInsider, 2/12/2009
Topics: テクノロジーとビジネス | No Comments »