第2のマドフ事件:今度はカリブの海賊「サー・アレン」が80億ドル
By Hiroki Kamata | 2009年 2月 19日
以前、バーナード・マドフの詐欺事件を本ブログで紹介したら、検索エンジンのお蔭か、ほかに情報が少ないせいか、5000PVを超える自己最高を記録している。マドフ事件の全容解明には、まだ遠い状態だが、関連・類似案件の摘発は進んでいるようで、米国SECは2月17日、テキサスの大富豪でスタンフォード・ファイナンシャル・グループ(SFG)のオーナー、サー・アレン・スタンフォード(57=写真)と Stanford Investment Bank などグループ企業3社を、少なくとも80億ドル*の巨額詐欺の疑いでダラス連邦地裁に提訴した。同氏は召還要求に応じず、18日現在雲隠れ状態とのこと。マドフ事件の被害者にもなっているようだが、そのための捜査で浮かび上がったとすればまさに二重の被害者。いや同様の手口で金を集めていたとなれば、被害者ではなく「偶然の共犯」だろう。
マドフとは対照的に、いかにも派手好みで陽気なテキサンという印象の「サー・アレン」は、ビジネスの拠点として活用しているカリブ海の英連邦加盟国、アンティグアの首相から叙任されたもの。英国では、クリケットの「スタンフォード20/20」トーナメントの冠スポンサー(5年間で1億ドル)として有名だ。フォーブズ誌の Forbes 400 では、ランク 239位 (2008)、資産20億ドルとなっている。住所は米領ヴァージン諸島のセント・クロイ島。米国とここの二重の市民権を持つが、邸宅はマイアミなど複数。
本人のウェブサイトによれば、離婚して子供は6人。団塊の世代らしい(?)強い繁殖力だ、アンティグアもヴァージンも「オフショア」取引に使われる、タックスヘイブンとして知られる。マドフがニューヨークのユダヤ人社会の名士で、重厚な老人だったのに対して、「サー・アレン」を名乗るスタンフォード氏は、アメリカからはみだして「カリブの海賊」風の雰囲気を漂わせる、ちょいワルか。Times には、コンヴァーティブルに美女を乗せた「サー・アレン」のパレード風景が貼り付けてある。クリケットを「国技」とする英連邦諸国民には、あまりうれしくないだろう。
SECの提訴状の内容は、WSJ や NYTimes、The Times などに、かなり詳細に取り上げられているが、基本的には「ポンジー・スキーム」で、高配当のCD(譲渡性預金証書)を販売し、後の顧客の資金を前の顧客の配当に回すというやり方だ。グループの中核であるSIBは、本社をアンティグアに置き、131ヵ国に3万人の顧客を有するという。「独特の投資戦略」により、過去15年間フタ桁のROIを実現、2008年も「1.3%のロス」(S&P500 は39%ダウン)に止めたと称していた。しかし、資金はスタンフォード氏とジェームズ・デイヴィスCFOの二人で管理。「簡単に言えば、投資ポートフォリオの約90%がブラックボックスに封印されていた」(SEC)だったようだ。これもマドフ事件と同じ。
SFGはすでにアンティグアの175名の社員を解雇した。ボールドウィン・スペンサー首相は、この捜査が、人口7万人の小国の名誉を汚したことに遺憾の意を表明した。サー・アレンは、この国のGDPの倍以上の個人資産を有していた。 (02/18/2009)
参考資料
- U.S. Accuses Texas Financial Firm of ‘Massive’ Fraud, New York Times, February 17, 2009
- Allen Stanford lost money to Bernard Madoff and ‘lied to cover it up’, by Jenny Booth, Times Online, 2/18/2009
- U.S. charges Allen Stanford with “massive” fraud, Reuter, 2/18/2009
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