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アップル・ネットブックは、ミニMacかメガiPhoneか、それとも…

By Hiroki Kamata | 2009年 3月 11日

apple-itablet-1アップルがネットブックを出すらしい、という噂はかねてあった。しかし台北の経済紙が3月9日、Wintekというパネルメーカーが、アップルからネットブック向けタッチパネルを受注し、今年3Qに出荷開始すると伝えたことで、これはほぼ確認された。アップルは確認を拒否したので、あとは憶測を楽しむことができる。 アナリストも、アップルの目指すのは新市場の創造であって既成市場におけるシェアではない、とみている。それでは… 【写真はParFratoによる “TabletMac”の想像図】

アップルのネットブックを憶測する:iPhone-Phone=Media Viewer

ネットブックというのは、モバイルの拡張とPCの低価格化の間で、(パソコンに価格革命を起こした功績は認めるが)なんとなく中途半端な感じがある。ミニPCとか大型PDAというのは、積極的に欲しくなる選択ではない。昨年暮に「アップルのネットブック」が話題になった時、アップルは中途半端な製品は出さないが、そのサイズに必然性を感じさせるようなガジェットを必ず出すだろう、と筆者は考えた。そこから得られる結論は、PCでもノートでもない「ブック」。つまりアマゾン・キンドルを超える「ザ・ブック」だ。うん、間違いない。なぜなら、ジョブズが欲しがるに違いないし、もちろん筆者も欲しいものだからだ。

筆者はアップルになんのコネもないし、特別な情報源は持たないので、以下はまったくの揣摩憶測にすぎない。
iPhoneの成功は、昨日も書いたが、あのサイズでりっぱに情報を自在に表示できるUIを実現したことだった。マウスの必要を感じさせないタッチパネルで、新聞や雑誌、本、コミック、ビデオ、なんでも見たい気にさせた。そこで出てきた感想は、「携帯電話にこだわらなければ」もっと便利なものになるはず、というものだ。これほど「メディア・ビューワー」として完成されたものなら、XGAクラスの大きい画面とバッテリーがあれば、手放せないものができる。それに、(ネット接続機能さえあれば)電話などはヘッドセットだけで使える時代だ。iPhone の主機能から電話ハンドセットを外したら、PCやカメラ、TV(外部ディスプレイ)との連携もとりやすくなる。

これまで、パソコンに「ブック」や「ノート」という言葉が使われてきたが、ただサイズの比喩として使われてきたにすぎない。しかし、これからは、ビューワ主体の「ブック」とワークスペース主体の「ノート」に分化する。アップルで言えば、マックは後者、ネットブックは前者となる。これは21世紀の「ザ・ブック」となる。そしてゲームマシンよりも大きな市場を形成する。

「ザ・ブック」

「ザ・ブック」は表示兼入力パネル中心のものだろう。OSは、Mac Xである必要はなく、 iPhone のほうが向いているかもしれない。キーボードは、画面カバーの裏でもいいから、やはりフルが欲しい。着脱式無線キーボードならなおよい。タブレットは望ましい。外部インタフェースはなるべく豊富であるほうが楽しい。

これは、ノートPCのように、仕事用アプリケーションを積んで仕事をするためのガジェットではないだろうが、もちろん仕事にも使える。複数のビジネス情報源から関心のある情報をサーチして、教えてくれたり、新刊書をそのままダウンロードして読んだり、ビデオや音楽を聴いたりもできる。旅行には、ツアーガイドから関連する情報を抜き出して、自分(グループ)用のガイドブック+ノート+オーガナイザー+ノートをつくり、これをネットで共有したりもしたい。デジカメで撮った写真を送ればスライドビューワになる。室内なら大型ディスプレイやオーディオセットに接続もできる。こういうことは、何かと制約の多い路上や公共スペースでするよりは、自分の部屋でゆっくりやりたい。ますますサイズが大きいほうがいい。ネットブック程度のサイズがちょうどいいのだ。

機能的にPCで出来ないことがあるだろうか? ない。PCは究極のオムニガジェットなので、何でもできる。「ザ・ブック」に出来る最高のことは、情報を使いたくなる専用のインタフェースを持つことだ。これには情報を加工し、プロデュースする機能を主体としたPCでないほうがいい。機能的にできるできないの話ではなく、純粋に使いたいかどうかの話だ。

キンドルとの競合

「ザ・ブック」は、おそらくキンドル登場以前から構想されていたものの、キンドルの成功に触発されたものだ。だからデザインや機能はキンドルを意識したものとなろう。カラーで電源消費は大きくなり、純粋にブックリーダーとしては電子インクのキンドルに分があるが、メディアビューワとしては「ザ・ブック」は比較にならない。キンドルは電子書店としてのアマゾンを背景としており、アップルは iPod のような戦略は考えていないだろう。むしろアマゾンやアマゾンと対抗できるオンライン書店、コンテンツプロバイダーとの提携を目ざすだろう。

「ザ・ブック」は、カラーなので新聞や雑誌、カタログ、マニュアルには有利だ。これを使って、コマース系のビジネスモデルも新しいものが考えられるだろう。したがって、「ザ・ブック」はよりアクティブに展開し、キンドルはスタティックなニッチを確実に押さえるものと思われる。 (03/11/2009)

参考情報

  1. Wintek to supply touch panels for Apple netbook, says paper, Yvonne Yu, DIGITIMES, Taipei, 3/9/2009
  2. “アップル・ネットブック”はタッチ・スクリーン仕様? 」、Jeff Bertolucci/PC World、3/10/2009
  3. 「ウワサのアップルネットブックは Mac OS X をスケールダウンしたものか、それとも iPhone OS をスケールアップしたものか」、by shiro、3/10/2009
  4. Apple netbook rumors resurface, Peter Smith, IT World, 3/10/2009
  5. Reports: Apple netbook to launch later this year, Gregg Keizer, 3/10/2009
  6. AppleのNetbookが出ない、これだけの理由」  eWeek/ITMedia, 12/17/2008
  7. Low-Price Apple Netbook Coming Next Year, Gregg Keizer, Computerworld, 11/24/2008
  8. アップルのNetbook製品情報がウェブ上で発見される?」 Charles Cooper, CNET, 10/23/2008
  9. 「アップルがネットブック対抗マシンを2009年に発表――アナリストが予測」、Gregg Keizer/Computerworld, TECHWORLD, 11/25/2008

Topics: テクノロジーとビジネス, 電子ブック | No Comments »

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