カテゴリー

最近の投稿

ブログロール

シリコンバレーの太陽が消える!:なんでIBMが?

By admin | 2009年 3月 21日

ringfoermigesonnenfinsternis経済学の教科書にはないが、市場というものは初期のビッグバンの後は、競争状態からしだいに独占へと向かう。企業は競争優位を定着させながら、利益の最大化を目ざすが、その際にM&Aほど有効な手段はない。とくに不況期がそうだ。かつて数百社が乱立した米国の自動車市場も、現在では「ビッグスリー」にも狭いほど。群雄割拠したITビジネスも、多くの分野で寡占状態が顕著になってきた。例外はまだサービスモデルの開発が続くネットビジネスだが、これも寡占化が目立つ。いままた、サンマイクロシステムズという大企業がIBMに吸収されようとしている。

目的はサーバでなくJava

IBMの意図について、サンの主要な収益源がサーバであることから、ハードウェア市場を再び重視したものか、とも言われているが、NYTimes (3/19)のスティーブ・ロアーとアシュリー・ヴァンス記者は、MITのマイケル・クスマーノ教授を引用しつつ、まったく逆のことを書いている。筆者もこれに同意見で、サーバなどはさっさと売ってしまうだろうと思う(買うのはサンのファンが多い日本か)。IBMはソフトウェアと(もし残るなら)優秀な技術者しか見ていない。

企業の価値には見える部分と見えない部分がある。サンの Javaは、見えない部分に属する。IBMはサン以上に(!?)Javaにコミットしており、すでにJavaを最も広汎に使用し、開発環境を提供し、Eclipse を中心としたオープンソース・プロジェクトをリードしている。JavaはIBMのソフトウェア・ビジネスモデルの不可欠な部分なのだ。逆に言うと、サンはJavaをビジネスとすることに失敗している。Javaは数奇な運命をたどって成長してきたが、これは言語自体を商品としても成功しない。ツールを売っても小さい。自然言語と同じく、教育や関連商品は独占すれば市場は小さくなるのだ。

IBMはハードウェアからソフトウェアへ、ソフトウェアからサービスへとシフトしたと見られている。最大の収入はサービスから上がる。それでも、ソフトウェアの生産性は言語やOSに依存するところが大きいし、それは収益性に関わり、サービス事業の成否に影響する。IBMにとってすでに「ソフトウェア」は市場に対応して多様な形態をとるサービスであり、いわゆるソフトウェア・テクノロジーは生産財、工作機械のようなものと考えられている。そしてもちろん、生産技術を他社が握っているのは、長期的にはリスクだ。サンを買収することにより、Javaは名実ともに掌中に収まる。マイクロソフトと対等以上に張り合えるわけだ。

「オープンソース」について多くの人が誤解しているが、JavaやLinux、Eclipseのような主流の環境にのプロジェクトでは、「ボランティア」が果たす役割は小さく、ほとんどはIBMやサンの社員が、会社の仕事で関係している。大企業が開発を担当していることは製品と変わりがない。ただ直接の「責任」をとらず、サポートや教育をサードパーティに任せられることだけが製品とは違う。「非公開・有償」にして大きなコストとリスクを負担するか、「公開・無償」にして最低限のコストで済ませ、別の部分でリスクを抑え、利益を出すかの選択をしているのである。IBMのような規模と構成の企業では、汎用機のような「ニッチ」ビジネス以外は、後者が合理的であることは言うまでもない。

競争が好きな人間などいない。とくに不況期には

サンは多くの分野でイノベーションを達成してきた企業であり、それが消えることは残念だ。DECもそうだったが、「イノベーターのディレンマ」を地で行ってしまい、幾人かの天才を含む優秀な技術者の手によって社内で生まれる革新的なテクノロジーと、初期の成功を踏襲するレガシービジネスの収益性との板挟みで、後者を選択してきた。人間のすることはどうしてこう変わらないのだろう。結局、経営者は(ローリスクで今日の数字を重視する)株主の意向を無視できず、イノベーションとは逆のことをやってしまう。IBMやアップルが偉大なのは、株主をコントロールすることができていることだ。

出世競争を除いて、競争が好きな人間は(とくに大企業には)いないと見える。ライバル企業の技術・顧客を買収で手にすれば、それだけ競争圧力は減る。リスクの大きいイノベーションに頼る必要はなくなり、スケールメリットを生かすだけで、顧客との交渉力も増すからである。しかしミクロ的には合理的行動だが、マクロ的には成長率の低下と技術的停滞をもたらしやすい。日本などは典型的な大企業社会で、いくら規制緩和だとかベンチャーだとか騒がれても、力関係は変わっていない。利益機会は大企業の周辺に生じ、それは市場の拡大(成長率)に関係するよりは、配分(たとえば民営化)に関するものとなる。競争の勝者は急いで梯子を壊し、後から誰も登ってこれなくなると、安心して「自由競争」「自由貿易」の利を説くのである。 (3/20/2009)

Topics: テクノロジーとビジネス | No Comments »

採点をお願いします。


コメントはこちらへ