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「目的」が意味を持つ組織とIT

By Hiroki Kamata | 2009年 3月 26日

「言われてやる改善ではなく、自主的にやる改善だからこそできるのです。では、なぜ社員が自主的にやるかというと、当社ではいくら生産性を上げても絶対に解雇されず、昇進できる可能性がある、という前提が定着しているからだと思います。 」 (キヤノン電子・酒巻 久社長、日経ITPro 「経営とIT新潮流2009」 より =2/24/2009)

「当社は、IT投資を単なるコスト削減の対象とは考えていません。」という酒巻社長は、(1) 市場と事業が乖離しないよう、情報が流れる仕組みをITでつくり、(2) データが現実と乖離していないかのチェックを怠らないことが重要だとしつつ。さらにこう語る。

「それ以上に大事なことは、得られた情報を何に活用するのか、その目的意識を持つことです。そもそも目的意識がなければ、どんな情報が必要なのか分からないし、データを分析することもできないでしょう。 」

「情報」は指示を出してくれるものだと思っている人間は多い。いつの間にか、言われたとおりにやっていけばいいという官僚主義(官僚とは本来無関係)が蔓延してしまったのが、「失われた××年」を重ねている原因だ。ITは、こうした環境ではネガティブな作用を持つ。目的は「情報」より優先する、と考える人間だけが、目の前にある「情報」の限界や欠陥を見破り、目的に合ったものに改善することができる。目的を多くの人間(トップと現場)が共有することができれば、「情報」はよりよいものとなり、目的の達成に近づく。

その逆の例はいくらでもある。「情報」を、たとえば法律とかルールと読み換えてみてもいい。これらもたんなる「情報」だ。それが意味を持つのは、その「意味」が共有されているからで、コミュニティの中で立場の違う個々人によって「意味」が違ってくると、「情報」は歪む。法律も「私的」に使われてしまう。これは今日かなり一般的に見られる現象だ。これを性悪説で縛ろうとしても、相互不信・疑心暗鬼・被害妄想が拡大してよりひどい状態になる。官も民も「恥なし」という状態だ。「悪者」を探すのは簡単だが(どこにでもいる)、酒巻社長が言われる「いくら生産性を上げても絶対に解雇されず、昇進できる可能性がある」(逆に、生産性を上げない限り、解雇も昇進も会社もない)という前提を、とりあえず全員が共有するところから出発するしかない。

目的をどうやって共有できるか、というのが次の難問である。そのためには、

ということを確認する必要があるだろう。困難な時期に、組織の「目的」(ベクトルとして存在する)を合わせることほど難しいことはないが、そのためにリーダーを「選ぶ」必要がある。リーダーと(コミュニケーションを支える)ITシステムは、チームワークの前提と言えるだろう。 (3/26/2009)

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