ゲーム版クラウド・サービス:OnLiveはゲームを変えるか
By Hiroki Kamata | 2009年 4月 9日

クラウドを語る上でひとつ重要なニュースを忘れていた。ゲームの世界の話だが、3月23日のGame Developers Conference (GDC)で発表された、マシンに依存しないオンラインゲーム配信サービス OnLive のことだ。一定のインターネットアクセスがあれば、PCやMac、TVを使って高品質のゲームが楽しめ、大手のゲームパブリッシャーがコンテンツを提供している。画期的なのは、サーバからのストリーミング配信でやってしまうこと、高度のデータ圧縮技術によってラグなしにプレイできること。それにより、ゲーム専用機に重大な脅威が生じてくることだ。
世の中のことは振り子の原理で動いているようで、ホスト-端末モデルは太古の昔の技術のように考えられていた一昔前とは様変わりして、高速PCに買い替えたりするのがあほらしくなるほど、サーバサイドが充実してきた。ブロードバンドがあれば、クライアントに投資するのは割が合わなくなる。Windows Vista の躓きの最大の原因は、時代が変わり、環境が変わっていたということだろう。本ブログで述べたように、クラウド環境はコンピュータで使えるすべてをユーティリティ化せずにはおかない。インターネット時代の新しいメインフレーマーは、サービスをパッケージ化しているGoogleでありアマゾン、ということなのだろう。
さて OnLive だが、サンフランシスコのスタートアップで、WebTVの創業者スティーブ・パールマンらが立ち上げ(経営陣はこちら)、7年を費やして特許を取得(+申請)したデータ圧縮技術を開発・実用化したという。クライアントにインストールするソフトウェアはわずか1MB。IntelベースのMacや、Windows XP/Vista搭載のPCであれば、性能にかかわらず、最高品質でストリーミングできるように設計されている。最低必要速度は、標準解像度でプレイする場合は1.5Mbps、高解像度でプレイする場合は5Mbps。ビジネスモデルは、基本的に購読料形式(月額+追加)。ゲームはマルチプレイヤーを想定しており、相手をビデオで見ながらプレイするといったソーシャル体験もサポートする。なおOnLiveは年内のサービス開始を目指している。
OnLiveのターゲットは、XBox、PlayStation、Wii といったゲーム専用機と専用機向けソフトとなる。OnLiveが所期の性能を発揮する限り、少なくともオンラインのマルチユーザーゲームに関しては相当な強みを発揮する可能性が強い。これと対抗するためには、ソニーや任天堂にとって必ずしも得意と言えないクラウドの世界に深く入っていくしかないだろう。マルチコアのMPUを搭載した高性能マシンを3万円前後で売って利益を上げるのは困難で、ソフトウェアからの収益を組み込むしかない。この伝統的なハードウェア+ソフトウェアの1品販売モデルが、拡大するクラウドモデルにいつまで持ちこたえることができるか、ハイエンド製品ほど厳しくなってくるのではないか。
ソーシャルネットワーキングに始まり、出版とエンタープライズ・コンピューティング、そしてゲームまで、雲が一面に広がってきた。しだいに視界は不良になり、再び晴れてきたときには、ビジネスは一変しているかもしれない。 (04/09/2009)
参考資料:
「ゲームオンデマンドの新興OnLive–ストリーミング配信でゲーム業界の頂点に挑む」 Daniel Terdman,CNET,3/27
Onlive: new service could mean game over for PlayStation and Xbox, Mike Harvey, Times, 3/24/2009
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