オバマ政権の「IT新三役」出揃う:インド系の若手チョプラCTO指名
By Hiroki Kamata | 2009年 4月 20日
CIOやCPO (Chief Performance Officer)と並んで、あるいはそれ以上に新政権の目玉ポストとして注目されていたCTO人事について、オバマ大統領は4月18日朝の定例インターネット演説でアネーシュ・ポール・チョプラ (Aneesh Paul Chopra) ヴァージニア州テクノロジー長官 (Secretary of Technology)を指名したことを明らかにし「アネーシュは、技術革新を推進し、雇用創出、医療費削減から国家安全保障にまで広がる最も優先度の高い課題の達成を助けてくれるだろう」と述べた。
”Web 2.0” による医療制度改革に期待
CIOの人選は、かなり注目されており、ビル・ゲイツやエリック・シュミットなどの大物の名前が浮かんでは消えていたが、最終的な選択はクンドラCIOと同じく、技術系行政実務の経験者で新世代ITの利用で顕著な実績のある若手(のインド系)に落ち着いたことになる。チョプラ氏はジョンズ・ホプキンス大学を卒業 (1994)し、ハーヴァード大学ケネディ・スクールで修士号 (1997)。ビジネスインテリジェンス(BI)関係のベンチャー企業 Compass の設立に参加、医療ビジネスシンクタンク Corporate Executive Board Co などを経て、2003年にヴァージニア州のテクノロジー長官に就任した。最近Government Technology Magazineの「トップ25人」に選出されたほか、2007年にはヘルスケア情報マネジメント・システム協会 (HIMSS)の「州政府における優秀なリーダー」賞を受賞している。
CTOの公式役職名は、長くなるが Director for Technology under the White House’s Office of Science and Technology Policy(大統領府科学技術政策室テクノロジー担当副局長)というもの。CIO、CPOとの関係は必ずしも明確ではないが、CIOはITを使った行政改革、CTOは国家としてのITサービス基盤構築、CPOはコストとパフォーマンスにおける目標管理、といった分担ではないかと推測される。つまり三者が補完し合いながら電子政府を、21世紀型の行政システムとして設計・構築・運用監視していく、というイメージであろうか。CPOに指名されたジェフリー・ザイエンツ (Jeffrey Zients)氏については別の記事(例えばLA Times 4/18)に譲りたいが、アントレプレナーで経営コンサルタントとして知られている。以上3名に、FCC議長候補のジュリアス・ジェナショウスキー (Julius Genachowski)を加えれば、オバマ政権のICTスタッフが出揃うことになる。
オバマ政権の最大の課題の一つは(クリントン時代に一度頓挫した)医療・保険制度改革であり、チョプラCTOに最も期待されることが、ITを駆使した最も機能的な新制度の設計にあることは容易に推察される。困難な財政・経済の下で、コストを切り詰めながら保険制度を構築することは、従来の情報では不可能であり、それだけに州レベルでの実績を評価されたチョプラCTOへの期待は大きい。その他、農業や教育、労働行政などへのブロードバンド普及なども推進することになるだろう。
ところで、チョプラCTOには、米国IT産業の期待も高い。グーグルのシュミットCEOは、わざわざメッセージを寄せ、ティム・オライリーも「最良の選択」と賞賛している。ヴァージニア州テクノロジー長官として、Web 2.0サービスの広汎な導入を手掛けたこと、行政府のITに関して斬新なアイデアを持っていることなどが評価されているものとみられるが、そうした反響についてはあらためて取り上げてみたい。ともかく、わが「霞が関改革」と1光年ほど隔たった印象を受ける。 (04/20/2009)
Obama names Chopra, Zients to top posts, Washington Business Journal, 4/18/2009
Tech Industry Cheers as Obama Picks a CTO, Amy Schatz, WS Journal, 4/18/2009
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