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行政にイノベーションは可能か:Government 2.0 の挑戦

By Hiroki Kamata | 2009年 4月 20日

choprakundra2行政はほとんど手順でしか動かない。そこで生ずる「お役所仕事」を批判するのは簡単だが、組織は一種の精密機械であって、ある一部で強引に手順を崩せば、ほぼ確実に弊害が生ずる。だから、本気で変えようと思ったら、行政の素人ではダメで、アーキテクチャとプロセスを設計し直すことができる行政の専門家を連れてくる以外にない。そうした専門家を養成する高等教育機関があり、そこでITを解する新世代が出現して州レベルで実践の機会を得られているというのが、米国の強みであろう。 (写真=チョプラCTOとクンドラCIO

行政を知る者だけが、それを変えることができる

Government 2.0 を推進してきた関係でチョプラCTOを知るオライリーは、「ITを使ったよりよい政府」を知る人物として彼を絶賛しつつ、特に次のように述べている

「チョプラは過去3年間にわたって、行政府に独特な技術的課題と取組んできた。政府の政策や有権者の利害対立、法律に義務づけられた予算、妥当性を失っても存続する規制、その他行政に固有のもろもろの制約の枠内で活動する際の複雑さに対しては、民間での経験は役に立たない。ヴァージニア州テクノロジー長官としての3年間の任期の中で、チョプラはこれらに立ち向かえる資質を遺憾なく発揮した。実際、昨年には全米の州CIOの協会 (National Association of State Chief Information Officers)が彼をテクノロジー管理におけるナンバーワンに選出している。」

オライリーの称賛は延々8項目にわたって続くのだが、さすがに彼は「政府」というもの、「テクノロジー」あるいは「イノベーション」というものの本質を的確に理解している。チョプラの非凡さは、官僚にも「失敗する権利」を認めることに表れている。ギャンブル(試行錯誤)を恐れていてはイノベーションなどできない。その代り、予算期を単位として評価するのではなく、月単位、週単位でオペレーションを評価し改善するという(じつは民間でもあまり行われていない)やり方を実践した。彼は徹底して実践的なのだ。

CIOとCTO、それぞれの役割と関係は、組織の性格によって変わってくるので、最初にきちんと定義しておく必要がある。オライリーのブログにホワイトハウスの文書からの引用が載っているので、ご紹介しておきたい。

CIOとCTOの分担

「CIOの責務は、情報技術を使って政府の業務の仕方を変えることである。CTOは先進的なテクノロジーを使って民間部門のイノベーションを促進し、医療ITにより管理コストと医療事故を減少させ、またテクノロジーを使い教師と生徒が学ぶやり方を変えることでわが国の経済・社会を変革することにある。」

簡単に言えば、ともにITを使うことでは共通していても、CIOが政府業務のプロセスリエンジニアリングを担当するのに対し、CTOは政府が(社会のために)行う、行政サービス(社会的IT基盤)の最適化を受け持つ、ということだ。これらはもちろん車の両輪であり、片方だけでは機能しない。しかし、現状のようにこれら2つの機能が(各省庁内で)混在していては、ITは期待された役割を果たせない。ホワイトハウスがITを戦略的に統括するにあたって、機能的(アーキテクチャ的)に、これらを分離した上で協調させようとしたところに、オバマ流IT戦略の本質があるといえよう。

CTOの人選に関して、一般にはIT業界の大物が取り沙汰された。つまりIT産業との関係強化のための政治的人事を想像したのだが、オバマの判断はもっと実質的なものだった。この慎重かつ大胆な人物は、Web 2.0を導入した政府(いわゆる Government 2.0)こそが、社会の「役に立つ」機能的・効率的な政府を機能させるための唯一の手段であると本気で考え、それに相応しい実績のある人物を抜擢したのである。他方で日本は、官僚や政治家を軽視・敵視させるマスコミの宣伝が行き届いているせいで、逆に古ぼけて故障しがちな19世紀製の精密機械を護っているように思える。 (04/20/2009)

Topics: 政治・経済・ビジネス | 1 Comment »

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One Response to “行政にイノベーションは可能か:Government 2.0 の挑戦”

  1. ITは解決ではなく、それ自体が問題の一部である。 : OBJECT REPORT さんより:
    2009年 4月 30日 at 4:56 PM

    [...] 。筆者は巨大組織のシステム改革という意味で、米国連邦政府(ホワイトハウス)と国防総省の改革に注目している。CIO/CTO/CPOをワンセットとしたホワイトハウスの情報システム改革は、 [...]

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