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IPO、VCの激減の理由:資金の枯渇か資金需要の減退か

By Hiroki Kamata | 2009年 4月 22日

世界の株式市場での2009年1Qの新規株式公開(IPO)は、前年同期比で97%マイナスの14億ドルとなった (1)。なんとこの1年の金融恐慌と世界不況で、IPOはほとんど吹き飛んでしまったことになる。同じく1Qには、米国のベンチャーキャピタルの資金調達額もも前年同期比で40%近く(43億ドルに)ダウンした(2)。日経新聞には「投資家はリスクの高い成長企業への投資に依然、慎重姿勢を続けている」と書いてあるが、これは能天気というものだろう。常識的には、ベンチャーに資金が流れない理由は、本当にカネがないか、投資案件(=事業機会)がないか、2つしかない。さらにこれは常識的ではないが、スタートアップ企業があまりベンチャー資金を必要としなくなった、という可能性も否定できない。いずれにせよ、背景こそが重要だ。

まず、事業機会がないということは、(圧倒的な大企業社会である日本はいざ知らず)米国に関する限りはない。ITだけをみても、ソーシャルネットワーキング、ビジネスインテリジェンス、クラウド、電子ブックなど、スタートアップの活動が低下している兆候はない。こうしたスタートアップは、独自のテクノロジーとビジネスモデル(の組合せ)を持ってチャレンジしてくるわけで、新しいカテゴリーには必ず数社の競合がある。

カネがないのは確かだ。昨年12月8日に TechCrunch のエリック・ショーンフェルドはこう書いていた。

ウォールストリートで起きた大惨事の影響が次第にベンチャーキャピタル各社にも及んできている。大学基金、年金ファンド、投資銀行、富裕な個人といったベンチャーキャピタルの有限責任パートナーの常連もキャッシュが回らなくなっている。ハーバード大学の基金はここ4ヶ月だけで80億ドルの損失を出した。多くの有限責任パートナーはベンチャーキャピタルからの出資要求に応える力を失っている。

機関投資家は、一定比率をベンチャーに回すが、投資資金そのものが傷んでしまうと、当然にもベンチャーにはほとんど回せなくなる。GEやGMなどの優良企業も無残な姿をさらし、さらに「富裕な個人」はマドフ事件などで大いに傷んだ。詐欺事件の被害額だけで、ベンチャーへの年間投資額をはるかに超えている。

そして最も考えにくい可能性を述べているのが、前掲のショーンフェルドだ。多くの起業家たちが、かつてのようにベンチャー資金を必要とせずに成功していることをあげて、「しかしある種のスタートアップ、特にウェブ・サービスのスタートアップは、今後そういう資金なしでも事業を開始するようになるかもしれない。」と述べていた。ベンチャーキャピタルを受け容れるとマイナスもある。経営のフリーハンドを確保するためにも、外部資金ゼロでできればそれに越したことはない。クラウドやオープンソース、グローバルなチーム構成、各種パートナーシップなどが利用しやすくなったことで、新規事業のオーバーヘッドは劇的に低下した。ものによっては、かつての半分以下で十分になっている。 だとすれば、ベンチャーキャピタルとしても投資戦略を考え直す必要が出てくる。 (04/21/2009)

参考

Topics: テクノロジーとビジネス | No Comments »

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