「新型インフルエンザ」になる「豚インフルエンザ」
By Hiroki Kamata | 2009年 4月 30日
「豚インフルエンザ」が養豚業に打撃を与えることを恐れ、米国やEUの政府は「新型インフルエンザ」と呼称することを検討しているという報道があって、程なくメディアも「新型」に変えた。イスラエル政府高官は宗教上の理由で「メキシコ・インフルエンザ」を要求した(すぐに撤回)ほどで、疫病の呼称問題は領土問題のように政治化する。「鳥」の場合は支援団体が弱かったので、打撃など考慮されることはなかったようだが、養豚・精肉は米国ではビッグビジネスで政治的影響力も大きい。
トマス・ハリスのハンニバル・レクター博士のシリーズに登場する大富豪・メイスン・ヴァージャーにも、その片鱗が窺える。おそらく「豚」は消えるだろう。次に「新型」が出たらどうするんだろう。北朝鮮の「ロケット」が「飛翔体」となり「ミサイル」となった過程では、見事に報道管制が徹底していた。「草なぎ容疑者」から「草なぎさん」への転換もあまりにスムーズだった。釈放後、最初に「さん」と呼んだ読売新聞のWebは、「フライング」だったのか、いったん「容疑者」に戻してもいる。スムーズすぎて気持ちが悪い。
しかし「豚」という呼称は、病原体の特性を語るものであるし、「鳥」と比べて比較にならないほど人間に近いという意味でも、重要な属性を示すものだ。政治的な変更は禍根を残しかねない。発生パターンから見ると、米国資本の企業が進出している、メキシコの養豚地域の衛生状態が当然、問題とされるべきだろう。劣悪な飼育環境、豚に近く、医療から遠い住民の生活が、当地でのインフルエンザ蔓延の(少なくとも)誘因ではある(元衆院議員・元農林水産政務次官の笹山登生氏のブログ参照)。それにしても「鳥」の場合は、かなり徹底して殺処分が行われているのだが、今回はそうした情報は伝えられていない。もし畜産業者の政治力で、危険が放置されているとすると怖ろしい。今のところこれが「弱毒性」のものであることを期待するしかない。 (04/30/2009)
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