快走 Kindle、大画面新機種で新聞・教科書に照準
By Hiroki Kamata | 2009年 5月 6日
アマゾンが米国時間の5月6日に大々的な記者発表を予定している。すでに 5日付のWSJournal や Times など有力紙にはリークされており、この発表が「新聞」を大いに意識していることを物語っている。発表は Kindle の大画面版、そして教科書出版社との提携に関するものとなる。今年第I四半期は、売上 (前年同期比) が18%アップの49億ドル、利益が24%アップの1.77億ドルを達成した。とくにKindle は「最も楽観的な予測も超えるヒット」となったという。こうなると、特定用途にフォーカスしたハードウェアのバリエーションをテストする余裕も出てくる。
電子ブック(リーダー)の主要な用途の一つが教科書であることは言うまでもない(あとはカタログ、マニュアル、それにコミック?)。テキストは一般向けより大きな画面(A4~B5サイズ)とグラフなどを表示するより鮮明なグラフィックを必要とし、また本格的なWebブラウザも必須となる。これらはKindle 2 では提供されていなかった。ちなみにこの仕様は新聞閲覧用リーダーとも重なる。「ユーザー体験」がきわめて重要なこの市場を開発するために、アマゾンは出版社のほかに、いくつかの大学と提携している。WSJが「情報筋」の話として伝えるところでは、ペイス (Pace)、プリンストン、リード、ヴァージニア大学ダーデン (Darden)スクール、およびアリゾナ州立大学の5校だ。ユーザビリティを実地でテストしながら、改善につなげていこうというもの。
教科書(問題集、学参…)は、eラーニングの市場と重なるので、大学ではネットワーク・アプリケーションとしての電子ブックの多様な可能性を開発することができる。またリファレンス(辞書、事典、古典、原典…)やソーシャルネットワーキング(Wkiなど)との連携により新たなマッシュアップの可能性も生まれる。教育用だけではなく、研究用としても電子ブック/リーダーの市場は大きい(日本でも景気刺激策との一石二鳥で考えられる)。大学との提携を重視するアマゾンは非常に賢明だ。
発表イベントには、NYタイムズ会長のアーサー・サルツバーガー Jr. も招待されており、アマゾンのジェフリー・ベゾスCEOとともに新機種を祝福するらしい。すでに英紙 Times や米国の NYTimes、Time Magazine などがKindkleに電子コンテンツを提供している。しかし、新聞業界では、アマゾンの契約ポリシーは必ずしも歓迎されていない。何よりもアマゾンが購読者を管理し、価格決定権も保持しているためだ。ハースト・コープやニューズ・コープなどはKindleのライバル、Plastic Logic 社に加担している。同社も今夏にA4版をリリースする予定。ここではビジネスモデルが対立している。つまり、アマゾン任せの純粋有償モデルか、流通/ハードウェア非依存の有償+広告モデルか、というコンテンツ側の選択だ。アマゾンが新聞配給のシンジケートを握ることを容認できないグループが存在するのは当然だろう。新聞問題については別に検討してみたい。 (05/06/2009)
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