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米国消費者は「チープ&インテリジェント」指向:無駄な装備は淘汰

By Hiroki Kamata | 2009年 6月 10日

180px-1923_ford_model_t_roadster_3b36638r不況下にどんなものなら売れるか、というのは誰しも気になる話題だろう。衣料品や食料品の場合は「安い」ほうがいいにきまっている。ウォルマートもユニクロも好調だ。例外はコーヒー(豆)やチョコレートなど、もともと高額でない商品に限る。では自動車のように、もともと高額な消費財はどうだろう。好調を伝えられるハイブリッドカーだが、補助金なしの「裸の実力」で売れるかどうか。Wall St. Journal 6月9日付ジョセフ・ホワイト記者の記事が伝える J.D. Power社の調査では、やっぱりチープ。T型フォードへの回帰のようだ。地球に優しいより、財布に優しいが一番。 

自動車の基本機能は、1世紀前と変わっていない。人や荷物を適度な速度で運べるということ。タタの「ナノ」はこれを20万円余りで実現した。いまも予約待ちの状況。利益が出ないのではと思うが、自動車の場合は一定の生産台数と操業率を達成するのがまず重要で、顧客を確保し、ブランドと買替えサイクルを確立するのが先決だから、ナノは順調なスタートを切ったといえる。日本のような国内市場の長期低落傾向は深刻で、将来は「輸出国」としての地位も危うい。「成熟」市場には、高付加価値で利益を出すというのが定石だが、どのメーカーも同じ方向をとれば、むしろ衰退を早めるだろう。

メーカーが売りたい自動車の付加価値の代表はカー・ガジェット。サラウンド・オーディオ、カーナビ、衛星放送受信、インターネット、後席ビデオスクリーン、ハイテク安全装備などだ。ハイブリッドは別の範疇に入るが、これは「燃費」という純粋なバランスシートの問題と、温暖化防止(あるいは見栄)のような抽象的価値に分かれる。さて、WSJが伝える J. D. Power(マグロウヒル・グループ)の「自動車技術動向調査 (Automotive Emerging Technologies Study) 2009年版は、消費者に19の付加機能について「強い関心」を聞いている(サンプル数19,249=Web)。興味深いのは、例えば第1位のカーナビも、1600ドルを払っても(?)となると、一気に14位に急落すること。ハイブリッドも同様で、5000ドルと聞けば関心も失せる(4.2%)。実際、プリウスの売れ行きも、この1年で46%に下落している(5月末)。

ford_sync他方で、9位の「無線インターネット接続」は、250ドルと聞くと4位にランクアップする。自分のiPodが使えれば、高価な車載AV装備は不要ということだ。フォードは、iPod と携帯電話をカーオーディオと接続して音声コマンドで操作できる Sync というシステムを395ドルで販売しているが、搭載可能車種での搭載率は60%を超える(リンカーンでは標準)。少なくとも米国では、ガジェットへの関心が失せたわけではないが、低価格で同等の機能を実現すること、既存の投資(デジタルAV、モバイル)を賢く使うという方向に向かっている。これが成熟市場というものだろう。一般消費者がカーナビに10数万円も余計に払った時代はもう来ない。

欧州や日本ではどうか。同社の2008年の調査では、欧州は衝突回避などの安全装備、日本はハイブリッドに高い関心が集まっているという。欧州はディーゼル車で燃費、税制優遇のメリットが得られるため、ハイブリッドにはあまり関心がない。平均的な走行距離では経済性が出ない日本の「ハイブリッド熱」は、メディア効果の印象が強い(今年は政策支援も加わった)。不況になれば自然に経済活動が低下しCO2の発生も減るのだから、経済性を無視した(アルミ多消費の贅沢な)エコなど、政策で支援する必要などあると思えない。それよりは、EUのような買換え支援、安全装備や無線インターネット基盤整備、Sync のような連携標準の開発に金を使うのが正当だと思う。  (06/10/2009)

Topics: テクノロジーとビジネス | No Comments »

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